予防歯科

予防歯科とは

できてしまった虫歯を削ってつめるのではなく、むし歯ができない・歯周病が発症・進行しない環境をつくるための処置です。
現在日本の歯科では歯が痛くなってから来院する人が大半ですが、それでは遅いのです。『痛い→削る→つめる』の治療では、つめ物とご自身の歯の隙間から2 次的なむし歯ができやすくなります。歯周病が重度になってしまうと虫歯になっていない健康な歯を抜かなければいけないこともあります。
現状では20歳でたったの4%しか健全な歯を維持している人はいません。そして疫学調査によると、歯周病に罹患している人が増加しています。80歳で全く 歯がない総入れ歯の人は60%(2人に1人)です。定期的に歯科医院でクリーニングをし、お口の健康を管理することで、むし歯と歯周病になるリスクを減ら します。

歯周病の基礎知識

重度の歯周病のケース

重度の歯周病のケース

歯周病は歯ぐきや顎の骨といった歯周組織が破壊される病気です。歯周病は初期段階での自覚症状に乏しく、病状が進行しないと自覚症状があらわれにくいため、手遅れになって歯を失うケースも少なくありません。さらに恐ろしいことに、歯周病による悪影響は口の中だけにとどまらず、誤嚥性肺炎、心臓病、低体重児出産など、全身疾患を引き起こすといった可能性もあります。

歯周病は成人の約8割が罹っているか、その予備軍といわれるほど感染者の多い病気です。初期段階での自覚症状の乏しさから、歯周病になっていることに気付かない場合もあります。

歯周病の原因

歯周病は「バイオフィルム」による感染症です。 バイオフィルムは複数の細菌がネバネバの多糖体を作って付着した粘膜のことです。バイオフィルムはお口の中だけでなく、身近にも存在しています。 例えば台所やお風呂場の排水口などの水周りのヌルヌルしたものもバイオフィルムです。これらは物理的に擦り落とすことで除去できますが、お口の中も一緒で す。歯科では歯の表面についたバイオフィルムをプラーク(歯垢)と呼んでいます。

予防の基本はプラークコントロール

プラークコントロールとは、細菌がつくるバイオフィルムを破壊し成長させないようにすることです。 家庭でできるプラークコントロールはブラッシングですが、これだけでは、十分ではありません。特に歯ブラシでは磨きにくい、歯と歯茎の境目にプラークが付着し、石灰化すると石の様に固くなります。これを歯石と呼んでいて、歯石になってしまうとブラッシングでは除去できません。

そこで歯科医院で、プロの手によって除去する必要があります。 バイオフィルムは、一度除去しても時間がたつと、また形成されてしまいます。 しかも時間がたつほど成長して大きくなり、ガンコで毒性も強くなります。 したがって定期的に歯科医院でプロによるバイオフィルムの破壊と歯石除去が必要になります。

歯周病の進行

歯周病はこのように進行します

段階 症状
歯肉炎 13-01_r1_c1.jpg 歯と歯茎の間の溝「歯周ポケット」にたまったプラークが固まって歯石となり、歯茎に炎症が起きる。
歯茎が赤くはれてぷっくりと丸みを帯び、ブラッシングの際に出血しやすい状態になる。
この段階では自覚症状がないことが多いのが特徴。
歯周炎に発展するケースが多い。
歯周炎初期 13-01_r3_c1.jpg 歯ぐきの炎症の度合いは歯肉炎に近いが、歯周ポケットがより深くなる。
この時点においてもまだ歯周病という自覚はない。
歯周炎中期 13-01_r5_c1.jpg 歯周ポケットが4~5mmと深くなり、顎の骨が溶けはじめる。
歯ぐきの腫れや赤みがひどくなる。
この段階から、歯周病を自覚する場合が多い。口臭が気になり始める。
歯周炎重度 13-01_r7_c1.jpg 歯周ポケットの深さが5mm以上。見た目にも症状が表れる段階。
歯ぐきが下がり、ブヨブヨとした感触になり、歯が長くなったような感じがする。
顎の骨がどんどん溶けていくため、歯がグラついてくる。
ブラッシング時は出血だけでなく膿が出る場合もあり、悪臭を放つ。
歯周炎末期 13-01_r9_c1.jpg 歯ぐきが赤紫色に腫れ上がり、出血や排膿がひどくなる。
顎の骨は半分以上溶け、歯根が露出して歯がグラグラ揺れるようになる。
最悪の場合、歯が抜け落ちる。